春雨の降る中、ぽつぽつと山の中で白く煙る部分が見受けられました。淡い淡い、白というには僅かに淡紅色が掛かった柔らかな色。山奥の至る所で、ヤマザクラがつぼみを綻ばせ始めたようです。
バラ科のヤマザクラは、日本に自生する固有種の一種です。公園などで見かける一般的なサクラのソメイヨシノとは異なり、花の開花と同時に赤褐色の葉を広げ始めます。古い和歌に詠まれたり、家具の材料にしたりなど、私たちの生活に古くから寄り添ってきた植物でもあります。
ソメイヨシノなどのサクラよりも、どこか武骨で、野性味のあるヤマザクラ。それでいて儚く花弁を落とすさまは、当たり前のようでありながらも日本の春の貴重な一幕として、人々の心を動かし続けてくれるのでしょう。
K.

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2023.03.25 |
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ワスレナグサを小さくしたような花が、柔らかな葉を広げ、鮮やかに茂る草むらの中に姿を表し始めました。ミニチュアのような薄い水色の小さな花に、春の植物に相応しい柔らかな葉。このキュウリグサという植物を、皆さんは知っていますか。
ムラサキ科のキュウリグサは、今頃の季節になると道路の脇や草むらなどでその姿を見ることが出来ます。キュウリグサの特徴はなんと言ってもその匂い。小さな花を指の腹で潰すと、水っぽく青臭い、名前通りのキュウリの匂いがします。
他の植物に埋もれてしまうようなあまり目立たない植物ですが、その名前を知り、実際に匂いを嗅いだならば、きっと印象に残ることでしょう。名前も匂いの面白いキュウリグサ。ぜひ、いつもより視線を下げて探してみてください。
K.

2023.03.19 |
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青々とした下草が勢いよく成長し始めた今日この頃。春の空のような柔らかな青色をした花が見られるようになりました。小さいながらも、可愛らしい姿を主張するオオイヌノフグリです。
オオバコ科のオオイヌノフグリは、道路脇やあぜ道など至るところでその姿を見ることができます。ホトケノザよりも少し後に姿を見せ始め、春の到来を告げる植物の一つと言えるでしょう。春を彩る爽やかな花の色とは裏腹に、名前の由来は少々微妙なもの。オオイヌノフグリの名前の由来。知っている人もいるのではないでしょうか。
暖かな空気に満ち、空の色も柔らかなものへと変わり、様々な動植物が春を告げ始めました。オオイヌノフグリも花を咲かせたならば、いよいよ春本番です。
K.

2023.03.18 |
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駅に向かう道すがらのこと。もったりと暖かくなってきた春の気候を感じていると、目の前を黒い影が滑空していきました。ぱっと視線を上げると、1年ぶりの懐かしいツバメの姿。ツバメは自分の姿を見せつけるように、まだ車通りの少ない朝の中を飛んでいきました。
スズメ目ツバメ科のツバメは、長く艶のある青黒い翼と白い腹、赤褐色の額と喉が特徴です。春になると日本に飛来する渡り鳥の一種で、人々の生活の中で姦しいヒナの鳴き声を響かせます。
昔から日本人の生活のすぐそばで子育てに勤しみ、沢山の人の目や耳を楽しませてきたツバメ。もちろん、玄関先やお店の軒先に巣を作られて、フンの被害や鳴き声に悩まされた方もいると思います。ですが、上手に折り合いをつけながら、ツバメの姿で春の訪れを感じられる日々を当たり前のように迎える。それは、とても幸せなことだとも思うのです。
K.
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2023.03.17 |
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深い光沢のある緑の中で、否応が無しに視線を引き付ける艶やかな赤。開いた花弁は、淑やかなようにも妖艶なようにも見えるヤブツバキが盛りを迎えていました。
ツバキ科のヤブツバキは、公園や森の中など様々な場所で目にすることができます。椿といえば紅の花が真っ先に思い浮かびますが、種子も椿油が採れることで知られています。黄金色のとろりとした椿油は、食用として使って良し、髪や肌など体に使って良しの万能なツバキの恵みです。ツバキの花は枯れるときに花弁と雄しべが萼を残して丸ごと落花します。その様子は『落椿(おちつばき)』と表現され、人の首が落ちる様を連想させるため、病人のお見舞いなどにはタブーとされているようです。
日本で古くから親しまれてきた花の一種である、ヤブツバキを始めとした様々な種類のツバキたち。沢山の色や形を持つ品種が生み出され、その様は豪華絢爛の一言に尽きます。とは言っても、やはりツバキと聞いて頭に浮かびやすいのは、ヤブツバキのようなオーソドックスな姿をしたものなのでしょうね。
K.

2023.03.09 |
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