fc2ブログ

ツバメ

 駅に向かう道すがらのこと。もったりと暖かくなってきた春の気候を感じていると、目の前を黒い影が滑空していきました。ぱっと視線を上げると、1年ぶりの懐かしいツバメの姿。ツバメは自分の姿を見せつけるように、まだ車通りの少ない朝の中を飛んでいきました。
 スズメ目ツバメ科のツバメは、長く艶のある青黒い翼と白い腹、赤褐色の額と喉が特徴です。春になると日本に飛来する渡り鳥の一種で、人々の生活の中で姦しいヒナの鳴き声を響かせます。
 昔から日本人の生活のすぐそばで子育てに勤しみ、沢山の人の目や耳を楽しませてきたツバメ。もちろん、玄関先やお店の軒先に巣を作られて、フンの被害や鳴き声に悩まされた方もいると思います。ですが、上手に折り合いをつけながら、ツバメの姿で春の訪れを感じられる日々を当たり前のように迎える。それは、とても幸せなことだとも思うのです。

K.


0542527050425-27a).jpg

スポンサーサイト



2023.03.17 | | Comments(0) | Trackback(0) | 鳥類

ヒヨドリ

 肌を刺すような冷たい風が住宅街を吹き抜ける中、甲高い鳥の鳴き声が響き渡りました。繰り返す鳴き声を頼りに辺りを見回すと、近くの木が揺れると同時に一羽の鳥が飛び出していきました。柔らかな灰色と赤褐色に染まった頬のヒヨドリです。
 ヒヨドリ科のヒヨドリは、全長30㎝弱で長めの尾を持っています。里山や公園など、ある程度の樹木が植えられていれば見られるため、都市部などでも見かけられます。果実や花の蜜を食べるため、サクラやツバキの近くでその姿を見かけることも。様々な鳴き声を持つヒヨドリですが、「ヒーヨッ、ヒーヨッ」という鳴き声は、名前の由来になっているともいわれています。
 バードコール(鳥寄せの鳥笛)のような甲高い声のヒヨドリ。庭先に半分に切ったリンゴなどを置いておけば、その姿を見せてくれるかもしれません。

K.


101116 IMG_3116-1

2023.02.24 | | Comments(0) | Trackback(0) | 鳥類

コサギ

 所々、辛うじて残っていた雪がすっかり消え去り、肌を刺すような冷たさだけが残された日の朝。朱色の欄干の先、少し前にアオサギを見た川の流れの中に、6羽ほどのコサギを見つけました。溶け残った雪のように鮮やかな白は、ふわふわと体を膨らませて流れの中に佇んでいました。
 サギ科のコサギは、チュウサギよりもさらに小さな60cmほどのシロサギの一種。水田や川辺など様々な水辺で、長い首をきゅっと縮めて立っている姿がよく見られます。足と嘴が黒く、足先が黄色いことが特徴です。餌は小さな魚やエビ、カニ、水生昆虫類などを食べます。
 ダイサギやチュウサギに比べると小柄なものの、その凛々しい顔はシロサギならではの風格があります。雪客(せっかく)という異名を持つサギに相応しく、穢れを知らない白色は今の季節を体現したかのような清廉さ。雪に招かれたような美しさのコサギは、冬の空気の中では一際美しく見えるようです。

K.


100117IMG_1527.jpg


2022.12.28 | | Comments(0) | Trackback(0) | 鳥類

カササギ

 先日、近所の公園を通り過ぎた際に、見慣れない鳥が羽を休めているのを見かけました。すっかり葉を落としてしまったソメイヨシノの、寒々しい枝の中で身を寄せ合っているのは、白と黒のコントラスト。黒、と言い切るには、藍を溶かし込んだようにほんのりと柔らかな色合いの翼を羽ばたかせたのは、カササギのつがいでした。
 スズメ目カラス科のカササギは、佐賀県で天然記念物に指定されていて「カチガラス」などとも呼ばれています。
 カササギと言えば有名なのが七夕伝説。7月7日の七夕の日が雨だった場合、水かさが増したせいで彦星と織姫は会うことが出来ません。そんな二人を助けたのがカササギたち。翼を広げて橋になり、無事に彦星と織姫が再開することが出来た、という七夕当日が雨の日だったバージョンです。詳しく調べてみると、雨の日でなくてもカササギの橋で再会するバージョンや、雨の日にはカササギの力があっても再会が叶わないバージョンなどが見つかりました。七夕伝説とカササギの話にはいくつか諸説あるようです。
 中国では喜びと良い兆しを示す幸運の鳥とされているカササギ。男女の仲を取り持つともいわれているカササギを、つがいで見たということは。かなりの効果を期待できるかもしれません。

K.


0557IMG5617.jpg

2022.12.16 | | Comments(0) | Trackback(0) | 鳥類

アオサギ

 薄墨を溶かしたような早朝。冴え冴えとした秋の空気の中、朱塗りの欄干の先にすくりと立つ一匹の鳥がいました。風景の中に墨で描かれたようなアオサギ。忙しなく職場や学校に向かう人々には目もくれず、アオサギは悠然と石の上に佇んでいました。
 ペリカン目サギ科のアオサギは、ヨーロッパからアジア、アフリカに生息します。日本では夏季に北海道へ繁殖のために飛来し、冬季に九州以南に越冬のために飛来します。本州、四国では周年生息しています。翼を広げると1.6~2mほどあるアオサギは、名前通りの青灰色の体が特徴です。鮮やかな黄色の瞳と嘴がモノトーンの体に生えるアオサギは、河川や水田などの水辺でその姿を見ることが出来ます。
 “サギ”と聞くと、ダイサギやコサギなどの真っ白な体のイメージが強いかもしれません。個人的には、シロサギからは穢れのない“雅さ”が感じられ、アオサギからは日本古来の“わびさび”が感じられるような気がします。水墨画の中から抜け出してきたかのような配色のせいか、京都の「銀閣寺」が連想されるのです。
 目を引くような華やかさや美しさは感じられないかもしれませんが、しみじみとした味わいの趣が感じられるアオサギ。その姿は、分刻みの生活の中で、ささやかながらも穏やかな時間を与えてくれるでしょう。
K.

08.10.09;金比羅池 ★ IMG_0281


2022.11.08 | | Comments(0) | Trackback(0) | 鳥類

«  | HOME |  »

プロフィール

mahorobird

Author:mahorobird
「まほろば自然学校」
太宰府市内で生き物を通した環境教育を推進しています。
設立;2005年8月
代表 岩熊 志保

フェイスブックページ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

◆募集中の活動◆

◎毎月第2土曜日・・・湿地再生活動

カレンダー

08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カウンター

ブログ内検索