ウメなど華やかな花が咲き始める中、ひっそりと蕾を綻ばせる植物がいました。初春の陽だまりの光を集めたような色をした小さく慎ましやかな花。それを穂のような形で垂れ下がらせているキブシも、ウメなどにならって春を告げ始めたようです。
キブシ科のキブシは、4〜10センチメートルのブドウのように垂れ下がった花穂(かすい)が特徴です。果実に含まれるタンニンから黒色染料の五倍子(ぶし)の代用品が作られることが、名前の由来となっています。
ゆったりと地面に向かって垂れ下がる花穂が風に吹かれるたびに、シャラシャラと微かな音が聞こえてくるように思われます。そのさまは、シャラリと色っぽく音を立てるかんざし飾りのようにも見えるのではないでしょうか。
K.

2023.03.07 |
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青々と茂り始めた下草の中。可愛らしいバレリーナのようにすくりと背丈を伸ばし、パニエのような葉を広げた春の花が現れ始めました。そう、マゼンタ色の鮮やかな頭を持ち上げたホトケノザです。
シソ科のホトケノザは別名サンガイグサとも言います。下部の方は草枝を持つ円形の葉が、上部には茎を抱くようにして葉がついている植物です。道端や田んぼのあぜ道などでに生えていることが多く、赤紫色の花は唇のような形にも見えます。ちなみに、春の七草に挙げられる「ホトケノザ」はコオニタビラコのことで、このホトケノザのことではありません。
春を告げる草花の一つ。ホトケノザが顔を出し始めたということは、春はもうすぐそこまで来ているということでしょう。
K.

2023.02.27 |
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まだまだ肌寒さが残りながらも、確かな春の匂いが鼻を擽りつつある今日此の頃。近くの神社の境内で、初春を代表するウメの花が綻び始めました。
バラ科のウメは、サクラよりも遥か昔から日本を代表してきた花の一つです。日本では6月6日が「梅の日」とされていて、賀茂神社の例祭に梅が献上された故事に由来しています。色鮮やかな紅白の花は、咲き始めから散り際まで雅な美しさで人々の目を楽しませ、艶やかな香りで胸を満たします。そして、張り巡らされた枝は草木染めに、たわわに実った実は梅干しや梅ジュース、梅酒に。食はもちろんのこと、俳句や家紋の意匠、菅原道真公の飛梅伝説などなど。様々な場面でその姿を見かけることが出来ます。
古来より日本人と密接に関わり、五感全てを楽しませてくれるウメは、日本人にとってまさに無くてはならない存在だと言えるのではないでしょうか。
K.

2023.02.25 |
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肌を刺すような冷たい風が住宅街を吹き抜ける中、甲高い鳥の鳴き声が響き渡りました。繰り返す鳴き声を頼りに辺りを見回すと、近くの木が揺れると同時に一羽の鳥が飛び出していきました。柔らかな灰色と赤褐色に染まった頬のヒヨドリです。
ヒヨドリ科のヒヨドリは、全長30㎝弱で長めの尾を持っています。里山や公園など、ある程度の樹木が植えられていれば見られるため、都市部などでも見かけられます。果実や花の蜜を食べるため、サクラやツバキの近くでその姿を見かけることも。様々な鳴き声を持つヒヨドリですが、「ヒーヨッ、ヒーヨッ」という鳴き声は、名前の由来になっているともいわれています。
バードコール(鳥寄せの鳥笛)のような甲高い声のヒヨドリ。庭先に半分に切ったリンゴなどを置いておけば、その姿を見せてくれるかもしれません。
K.

2023.02.24 |
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日の光でほんのりと寒さの和らいだ午後のこと。日光がさんさんと降り注ぐブロック塀に、ちらちらと光を反射する小さな昆虫がいました。瑠璃の小さなボタンのようなその甲虫、ヨモギハムシは、こちらの視線に気づくことなく日光浴に勤しんでいました。
甲虫目ハムシ科のヨモギハムシは、日本各地で見られる1㎝ほどの小さな昆虫です。体は黒色で、藍色や紺色の光沢があります。名前の通りキク科であるヨモギなどを食べるため、草むらや住宅地など至る所でその姿を見ることが出来ます。
小さく目立たないながらも、確かな美しさを持つヨモギハムシ。その艶のある藍色の体は、深く柔らかなヨモギの葉によく映えています。個体ごとに微妙に違って見えるその色を、じっくりと楽しんでみるのもいいかもしれません。
K.

2023.02.07 |
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